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ポラーノの広場 序章

 そのころわたくしはモリーオ市の博物局に勤めて居りました。

 十八等官でしたから役所のなかでもずうっと下の方でしたし俸給もほんのわづかでしたが、受持ちが標本の採集や整理で生れ付き、好きなことでしたからわたくしは毎日ずゐぶん愉快にはたらきました。殊にそのころ、モリーオ市では競馬場を植物園に拵え直すといふので、その景色のいゝまはりにアカシヤを植え込んだ広い地面が、切符売場や信号所の建物のついたまゝわたくしどもの役所の方へまはって来たものですからわたくしはすぐ宿直といふ名前で月賦で買った小さな蓄音器と二十枚ばかりのレコードをもってその番小屋にひとり住むことになりました。わたくしはそこの馬を置く場所に板で小さなしきゐをつけて一疋の山羊を飼ひました。毎朝その乳をしぼってつめたいパンをひたしてたべ、それから黒い革のかばんへすこしの書類や雑誌を入れ、靴もきれいにみがき、並木のポプラの影法師を大股にわたって市の役所へ出て行くのでした。あのイーハトーヴォのすきとほった風、夏でも底に冷たさをもつ青いそら、うつくしい森で飾られたモリーオ市、郊外のぎらぎらひかる草の波、

 またそのなかでいっしょになったたくさんのひとたち、ファゼーロとロザーロ羊飼のミーロや顔の赤いこどもたち、地主のテーモ、山猫博士のボーガント・デステゥパーゴなど、いまこの暗い巨きな石の建物のなかで考へてゐるとみんななつかしい青いむかし風の幻燈のやうに思はれます。

 では、わたくしはいくつかの小さなみだしをつけながらしづかにあの年のイーハトーヴォの五月から十月までを書きつけませう。

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ひのきとひなげし5
(2009年3月10日)
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(2009年3月10日)
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(2009年3月10日)
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(2009年3月10日)
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(2009年3月10日)